税務調査対策
税務調査があった場合は、税務調査の経験が多くある税理士の松岡が立ち会います。お客様の視点に立って税務上の主張をさせていただきます。税務調査があると社長は不安になりとても緊張するようです。何が起こるかわからないのですから仕方がないと思います。しかし通常の経理を行っていれば指摘されることはあまりありません。
税務署が見ているところは、在庫は適正か、売り上げ計上漏れがないか、人件費に架空のものはないか、消費税の処理は適正か、売り上げと経費が対応しているかなど基本的なものだけです。このような点は弊社が経理代行をしていくうえでいつも注意している点です。
在庫は納品が決算日近くにあったものが売れてないのに計上していなかったものがないかなどを具体的にみていきます。そのとき期ずれという売掛金計上漏れも注意してみていきます。売上は現金売上、手形、小切手、振込、相殺がありますが、特に現金売上の漏れがないかをチェックします。また別口座に入金はないかなどもみていきます。このときは役員借入金などの勘定科目が大きく動いていることはないか、その理由は何かなどをチェックします。人件費は実態がないものなどないか、現金の領収書で相手が個人名などもチェックします。といった具合で基本的なところですので通常の経理をしていればそれほど心配することはないものです。
税務調査は、税理士の松岡が立ち会います。社長の立場に立ち、税務署に対し主張いたします。
税務調査の立ち合い費用は、①法人のお客様は立会い2日間とその後の税務著との連絡調整一式で13.2万円、修正申告は各1年度税目ごとに1.1万円、1日立ち合いが追加の場合3.3万円加算 ②個人のお客様は立合い1日とその後の税務署との連絡調整で8.8万円③特別に税務署との調整が必要なときは別料金となります。(料金は税込表示です。)通常会社は5〜7年に1度ということになります。しかし、売上が急に伸びているところなどは会社設立後3年経過したところで税務調査があることがあります。また売上などが安定していると10年以上入らないときもあります。10年に1度ならほとんどないと同じです。心配する必要はありません。
調査の日数は会社の規模によりますが、調査員が1人のときは2日間で、2人のときは1日、個人事業者など小さいときは1人で1日のときもあります。
税務調査はポイントさえ押さえていれば心配ありません。売上が納品日基準で月末まできちんと計上されていて、在庫が漏れていないで、経費の中に資産計上するものがなく、経費が正当なものであれば指摘されることはないでしょう。建設業者などでは雇用か外注かなども問題になりますが、この辺は前からずっとつづいているところです。外注費にすると消費税の本則のとき消費税が少なくなりますし、外注費であれば給与のように源泉所得税を引かないでもよいし、年末調整をする必要もありません。もらい方からすると手取りが多くなります。しかし外注というのは雇用契約でなく請負契約または業務委託契約になりますので、その契約が雇用でないことが重要になります。雇用契約とは拘束時間があり、専属で働いているような場合をいいます。請求書を出して請け負った部分が契約通り終わったので請求するというものが請負契約になってきます。
在庫のある業種では実地棚卸が重要です。実地での棚卸明細を税抜きなのか税込みなのか明示し、できるだけ細かく作成する必要があります。輸入等の場合は関税や消費税が別納付になりますし、輸入にかかる経費も在庫に含まれますので、実地棚卸をして単価計算のとき注意します。また在庫に処分在庫があるときはそのリストや処分した証拠となる写真などがあるとよいです。
個人に現金で支払っている外注費なども金額が多いときは間違いなく支払っているということを説明できるようにしておくことが必要です。振込なら相手にお金が支払われていることが通帳で確認できますが、現金となると領収書の金額なのかが不透明になるからです。
福利厚生費や接待交際費が細かくみられることはあまりありません。売上計上に問題がなく、在庫も問題がなく、何も経理に問題がないときなどに福利厚生費や接待交際費などを見ていくことになります。福利厚生費や接待交際費には個人的な経費が含まれていないか、従業員や役員の給与となる部分はないかなどを見ていきます。
接待交際費の金額が多くても実際お客様から仕事を受けるために必要だったことを説明できれば問題ありません。また福利厚生費などは従業員や外注の方に使ったものであることを説明できれば良いことになります。家族だけでというような支出はできるだけ避けたほうが良いと思います。また事業と関係ない普段使う服とか奥様のバックとか、そのバックが事業で出かけるときに書類を入れたりするために使っているのであれば問題ないのですが、事業と関連性がないものは金額が大きいと目立ちますので指摘されるかもしれません。
現金でのやりとりで金額が大きいものはきちんと説明できるようにしておく必要があります。旅費などでも新幹線を使って出かけたようなところはどこに誰と出かけたかを記録したほうが良いです。修繕費なども自宅を事務所として使用している場合など、修繕した部分は事業用として使用する部分であることを説明できるようにしなければなりません。修繕費なども金額が大きいので指摘される可能性は高くなります。
輸出取引等海外との取引を行う場合には、消費税の還付を受けることが多くなります。また海外との取引なので在庫や書類がわかりにくいこともあり、仕入と税関などの証明書などをなくさないように保管する必要があります。
また輸出取引をする会社は、旅費や電話代など海外での経費がでてきますので消費税の課税関係には注意が必要です。国際輸送・国際電話・海外での支払いなどです。海外出張はパンフレットや工場視察の日程、打ち合わせ記録なども書類として保管するようにします。
また書類は納品書や請求書、現金売上の領収書の控えで1冊の綴りになっているものは、間違っても破いて捨てないで、×をしてそのままにしておいたほうが印象が良くなります。請求書の控えが一部破られていたりするとその請求書は現金でもらって請求書の控えを捨てたと疑われるからです。これは現金売上の領収書の控えも同じです。書き損じても破らないでそのままにしておいたほうがよいです。
税務調査の重点を項目別にみていきますと上記とダブることになりますが以下のようになります。
①売上
売上は引渡基準です。引渡期の売上になっているか。当期の売上原価(仕入)との対応関係に間違いないか。現金売上げにもれはないか。領収書綴りに書き損じなどあるとき破られていないか。金属くず・段ボール・自動販売機など雑収入にもれはないか。親戚や近所の人に頼まれて領収書を切っていないものなどないか。相殺売上が計上されているか。売掛金の計上漏れがないか・特に分割で入ってくるものが当期の売上になっているか。ずっともらっていない売掛金の計上漏れはないか・あるなら形式基準に基づいてきちんと貸倒れ処理をしているかなどです。特に当期の売掛金(〆後にも注意)の計上漏れがないことが重要になります。
税務調査官が特にチャックしてくるのは、売上減価と収入の対応関係です。例えば、5月決算の会社で外注に出した仕事が5月31日に終了して検査引き渡しが終了しているとします。その終了後、元請に請求書を出すとき、6月分(6/1〜6/30)の請求書で出したとすると売上だけ翌期に計上され、外注費は5月分として当期に計上されるという収入と経費のズレが生じます。ここを請求書や工事日報、完了書類などから日付ごとに突合せ売上と経費のズレがないかを確認します。通常会計事務所では日付ごとの突合せはしませんので、会社の取引でなにかの原因で請求がずれたときなど指摘されることがあります。
この売上と収益との関係で注意が必要なのは、証拠書類として請求書が重要なものではないということです。請求書を作るもととなった書類が十四なものになります。請求書を作るとき、引き渡しをした都度なにかの証拠が残ります。取引業者との間で終わりました引き渡しました、発送しましたという日々の書類があり、結果的に請求書にまとめられます。税務署は請求書の作り方で引き渡しになっていないものがないかということをチェックしています。外注費との関係も同じです。現場に出ているのでしたら支払った月や請求月は関係なく売上との対応関係を見てきます。
②在庫・仕入
在庫は原則決算日に実地の棚卸でおこないます。商品が細かいときもできるだけ単価と量を棚卸表に記入して細かい棚卸表を実地で作成します。この棚卸表にないものが次の期の最初の月で売上になっていると在庫計上漏れということになります。仕入と売上は対応しなければなりませんので、次の期に売上が立つならそのとき経費になるように前期末での在庫計上が必要です。税務調査ではこの売上と仕入が対応していない決算日前後の売上を1件ずつ突き合わせておこないます。
仕入れに関しては輸入取引があるときは注意が必要です。輸出もですが輸入許可書や貨物に係る税金の支払いがそろっていないと消費税の課税貨物に係る消費税が引けなくなります。輸出の場合も輸出免税のため輸入許可書やBL、パキングリストは1セットにして請求書と一緒に突合せできるようにしておく必要があります。
なお税抜き経理のとき、税込み経理の時に合わせ在庫は税抜き、税込みで表示しないと損益が消費税分ずれてしまいます。
③消費税
簡易課税のときは、第4種に注意していきます。固定資産の売却などは損益計算書に出てこないことがあるので資産が動いているかをみていきます。また建設業者の場合や製造業の場合、加工賃を対価とする役務提供が混ざってないか注意します。
本則のときは、軽油、慶弔金・軽油税・車検費用の重量税や自賠責保険料・海外との取引の通信費・輸送料・ゴルフ税など消費税がかからない仕入れに注意します。また、輸入取引をしている場合には、課税貨物の消費税と課税仕入れの関係にも注意が必要です。
消費税の簡易課税の判定は業種を増やしたりしたとき、注意しなければなりません。一式請負の建設業と思っていた売り上げが、元請との関係で人夫だしになっていることもあります。事業者に販売していたと思っていた売り上げが、個人の人に販売を始めたとかということも珍しいことではありません。この辺は会計事務所側の注意ですが、忘れてしまうとずっと間違ったままになるので社長から売り上げの取引形態をよくヒアリングする必要があります。
自動車を買い替えたときや雑収入に計上する家賃なども課税非課税はミスしやすいので注意が必要です。自動車を買い替えたときは買替そのものが抜けてしまうこともあります。そうすると売上計上漏れもついてきます。
たまに派遣で人件費の補填の契約がある場合などは契約書をもらわないとわかりませんので、契約書をもらう癖をつけておくことが必要です。その中に給与負担金とあれば課税仕入れにならなくなります。
消費税は海外取引もリバーチャージが複雑ですので、国税庁の一覧表にあるかどうか社長に確認してもらうようにする必要があります。
消費税の計算は会計事務所の仕事ですので社長が注意するというよりは、会計事務所側での注意が必要なものになりますので、会計事務所側としては消費税の計算間違いがないように注意が必要です。
③ 使途不明金
建設業者などでは領収書がでない経費があると思います。いわゆるキックバックというものです。このようなものは経費にすると使途不明金として余計な税金を支払うことになりますので、社長の給与をその分多く取り、多くとる分の所得税と住民税はかかりますが給与として経費にして、社長のポケットマネーとして支払ったほうが後々安全です。
同じようなものに領収書はあるがその相手の詳細について説明できない場合も同じく経費にしないほうが安全です。役員賞与という形で法人税と所得税のダブルで課税される可能性が高いからです。現金で個人に支払った外注費や仕入、手数料などで金額が大きいものが目に付くと詳細を聞いてくることがあります。
④ 役員借入金
役員借入金等の科目は聞きなれないものだと思います。しかしこの勘定科目が理由もなく増えると税務調査ではどこにその財源があったのかが問題になります。役員借入金とは会社が社長個人のお金を借り入れていることをいいます。会社にお金がないので社長の個人の通帳から会社に振り込んでいるのであれば何も問題ありません。例えば会社が車を買うのですがお金がないので会社に社長がお金を振り込んで支払うという感じです。このような場合ははっきりした理由があります。
また社長が気づかないうちに増えることがあるのですがそれは会社の税金を減らそうとして役員報酬や奥様への給与を多めに設定していたとします。給与を多めに設定すれば会社の利益は減ります。会社の税金は少なくなります。しかし給与を払うとお金が無くなるので会社の運営ができません。
仕訳で書くと、役員報酬(家族の給与)/現金 となりこれが多いと会社にお金が無くなるので、いったん会社から役員に支払われた給与を会社に戻す必要が出てきます。その仕訳が
現金/役員借入金 ということになり。社長が知らないうちに役員借入金が増えることになります。役員の自宅を使用しているときなども家賃や会社が使用している電気代などを役員に支払うので同じことが起こるときがあります。また個人的経費が会社から支払われるときも同じになります。
このように役員借入金は実際に社長が振り込んだときや給与などで節税したときに出やすいのですが、このような理由で説明できないときが問題になります。そのときは何が想像されるかというと、売上が漏れているということになります。現金/売上なのに、売上が漏れているため、現金/役員借入金という仕訳がおこり役員借入金が増えます。この場合は売上計上漏れとなり税務調査の重点的な追及があります。
⑤ 個人的経費・接待交際費
事業に関係ない例えば自分の分の弁当ジュースを購入、タバコお酒購入、家族旅行で事業と何も関係がないもの、家族の使う洋服や備品、夕方の食事のためイトーヨーカ堂で買い物したなど、事業と関係ないものは個人的経費として経費になりません。この辺は税務署が全部否認するかというとそういったことはありません。程度の問題です。やりすぎないことです。
よく社長が以前の税務調査では何も言われなかったから接待交際費にしておけば個人的経費は大丈夫と考えてしまうことがあります。税務署もグレーなところを細かくやっていくと領収書全部について調べなければならなくなり面倒なので目に余るほどひどくなければ無視してしまうことが多いだけです。
ただここまで使ってくれるとさすがにというレベルになると税務署も否認してきます。そのときは、大きい金額や家族旅行などから否認してくるのでそういった大きい金額で個人的経費を出さなければ少しのことでしたら税務署も目くじら立てて否認してくるとということはないです。やりすぎないことことが一番重要です。
個人的買い物は事業として使ったと言えば分からないではないかという考え方もありますが、分からないことと事業と関係あることは別物です。税務調査では決算書の消耗品や福利厚生費、接待交際費が事業規模や職種によって多すぎるものは事前にチェックされます。接待交際費なら2万円以上のものは誰といったかわかるようにしておくとよいです。枚数が多いのでしたら3万円以上のものにはメモを残すとかという方法になります。本来は全部ですが、社長も忙しいし全部に書き込んでいられないと思いますので。
分からないだろうということで出しすぎると数字に表れますので、中身を見なくてもおかしいと判断されることになります。個人的経費は出しすぎない、やりすぎない程度にしておけばよいと思います。本来はダメですが。
⑥ 源泉所得税
年末調整も税務調査の対象になります。所得税の分野が重なってくるため、法人税の担当者は納付額が適正かなどを税務調査の最後のほうで簡単に確認しています。
報酬の支払い漏れが指摘されることがあります。例えば個人の弁護士から10万円請求が来て10万円支払うと、本来その10万円から約10%の源泉所得税を引いて支払い税務署へ会社が預り金として支払うべきだという感じです。
これは個人の弁護士、司法書士、経営コンサル、翻訳、漫画家、ダンスの先生など多岐にわたるのでダンス教室を経営している場合などは要注意になります。1回の支払いでは少ない金額ですが人数が多くなるときで何年もさかのぼられると大変な金額になるからです。
このような支払いは支払手数料という科目に多くありますので、支払手数料とか支払報酬の中を確認するとよいと思います。
⑦ 外注費
現金支払いの外注費、支払先が不明のもの、100万円とか切のよい金額での支払いなどが架空の者かもしれないと疑われます。仲間内で融通を聞かせることができる支払い科目でもありますので、現金渡しより振り込みのほうがよいと思います。振り込みの時は振込先口座の名義とその請求書にかかれている口座と名義が一致する必要があります。
外注費は請求書と振込先をチェックします。請求書がない場合業務委託契約書などがないと給与とみられることがあります。常傭ではないということを説明できる必要があります。請負であり、常に社長のところで働いているわけではないという感じです。道具なども持参し、完成するまでやってもらう、完成すればだれが来てもよい、請求書、納品書、契約書など書類がそろっていることがよいです。
⑧ 給与
家族な身内に給与の支払いをする場合はその給与の金額見合う仕事をしていることを説明できなければなりません。また架空の給与がないかなどはタイムカードなどで確認します。
外注費と給与についての区分は細かく聞いてきます。外注費が給与になると消費税や源泉所得税両方に影響してしまい多額の納税漏れになることがあります。給与にすると社会保険に加入しなければならないとかいろいろなことで手続きが難しくなりますが、毎日きて実際は雇用状態ならきちんと給与として処理したほうが安全です。
⑨ 印紙税
契約書の種類によって収入印紙を貼り忘れているか確認してください。領収書もおなじです。収入印紙の貼り忘れがなければ問題のない項目です。
⑩資産計上
個人名義のものを会社で使うときは賃貸借契約をつくりリース収入を上げる必要があります。これは社長の自宅を事務所として借り上げるときも同じです。会社で使うものを個人名義で購入したときは、会社で個人から購入した売買契約書をつくるか、社長個人が購入したものが仮払いとしたうえで、できるだけ早く会社名義にしたほうが良いと思います。
資産計上は車のときや建物のとき繰り延べ資産のときなど見るところが多いです。車のときは、個人で使用していないことを説明できるようにしておきます。もし個人用となると保険料とか駐車場とかも会社の経費ではないのではとか言われる可能性があります。
もちろんそれに反論することはできます。社長は土日も仕事をしているとか、仕事以外で車は使っていないとかです。
建物の資産計上の場合は複雑です。仲介手数料とか、固定資産税の清算金などは経費になりませんので注意します。土地を一緒に購入するときも土地との区分が必要になります。土地は減価償却できませんが、建物はできるので適当に区分するわけにはいきません。消費税がどうなっているかとか、固定資産税評価額とか、国土交通省の建築価格とかその場合に応じて合理的基準をつかって分けることになります。
少額減価償却資産に該当するものは、お客様には関係ありませんが申告書に明細を添付することと適用額証明に金額を書く必要がありますのでこの辺も注意が必要です。また少額減価償却資産の特例は青色申告が条件なので、青色申告でないときは使えません。