太陽光発電の税務上の取り扱い
給与所得者が個人事業者として太陽光発電を平成27年に3基、平成28年に2基購入しました。この場合の税務上の取り扱いについて概要はどうなるでしょうか?
まず、太陽光発電は個人で購入するときには、事業として行う規模かそうでないかという判断が必要になります。事業として行っているかどうかは曖昧な部分もありますが、一般的には50Kワットや土地を借りているなどで判断されます。アパートの屋根についている場合などは、規模にもよりますが、雑所得となる可能性がでてきます。
事業所得と雑所得では損益通算の取り扱いが異なってきます。事業所得になれば事業所得から出た赤字は損益通算で他の所得から控除できますが、雑所得には赤字が出ても他の所得から控除することができなくなります。事業所得も雑所得も利益が出れば総合課税で税率は変わりませんので、所得区分を間違えて特別償却などすると赤字が切り捨てられることもあります。その場合には、納付しなくてよい税金を支払ってしまうことにもなりかねません。
また、太陽光発電を購入すると、グリーン投資減税が受けられます。平成27年に購入した太陽光発電に対しては、100%の即時償却の適用が可能でした。(平成27年3月31日で太陽光発電の即時償却の制度は終了しています。)平成28年4月1日から平成30年3月31日までの期間に太陽光発電を取得し、その日から1年以内に事業に使用した場合には、30%の特別償却か7%の税額控除のいずれかの選択が可能です。税額の算定でどちらか有利な方を選択することになります。グリーン投資減税は、青色申告書を提出した個人又は法人に限られていますので、雑所得の場合にはこの制度は適用されません。
消費税の視点からみると、太陽光発電の購入には注意が必要です。太陽光発電は1基で数百万円を超えるものもあるため、事業開始初年度から消費税の課税を選択して、消費税の還付を受けられる場合もあります。しかし、税抜100万円以上の太陽光発電を購入した場合には、その年から3年間は消費税は免税にならず、簡易課税の選択もできなくなります。事業開始初年度に消費税の還付を受けられたものの、後から支払う消費税の方が多くなることも考えられるため、必ずしも還付を受けられればよいというわけではありません。また、不動産貸付業を併営している場合には、住宅の貸付の部分は非課税扱いになるため、課税売上割合によって還付額が変わってくることにも注意が必要です。
法人の場合は、事業税の取り扱いにおいても注意が必要です。資本金が1億円以下の中小法人(ガス供給業、保険業など一定の法人を除く)の場合には、事業税は所得に対してのみ課せられます。したがって、利益が赤字であれば、通常は事業税は課せられません。しかし、太陽光発電は、事業税では電気供給業という例外的な産業に該当し、収入割という税金が課せられます。収入割では、売上金額に一定の項目を減算した金額に対して税金が課せられます。この場合には、たとえ所得がマイナスであっても、売上金額があれば事業税が課税されます。収入割の税率は0.9%と決して大きいものではありませんが、考慮に入れておく必要があります。個人事業の場合には、太陽光発電であっても収入割は課せられません。したがって、個人事業においては、利益が赤字であれば事業税は課せられません。