資本金は、株式会社や合同会社をつくるさい必要になります。金額はいくらでもよいのですが、ふつうは10万円、100万円、200万円、300万円、500万円など切りの良い数字とか555万円、777万円、999万円(1千万円になると消費税の課税事業者になるので999万円という社長もいらっしゃいます。)が多いです。
資本金は、資本金を出す人の個人の通帳に入金する必要があります。または、現物出資という方法になります。通常は、個人の通帳に入金する方法で行います。
資本金の金額をいくらにするか。
いつまでに資本金は入金するのか。
資本金はいつまで引き出せないのか。
3人で資本金を出し合いたいが、いくらくらいにしたほうがよいか。
ネットバンキングでもよいのか。
振り込んできた売掛金の入金でもよいのか。
残高があればそれでよいのか。
などよく質問があります。
上記の質問に回答すると
質問
資本金の金額をいくらにするのがよいでしょうか。
回答
1円からOKです。実際、銀行からの借り入れができないように自分から1円で資本金を設定したいという社長もいました。1万円で事業を始めた社長もいました。
でも、この2つの会社は、実は業績がよく、会社を拡大するとき銀行からの融資は簡単に通ってしまいました。つまり、資本金と銀行の融資とは、業績がよければあまり関係がないということになります。よって、銀行から借り入れをしたいので資本金が大きくする必要はないようです。
ただ、土地やビルを購入するとか、大きい金額を動かす会社の場合は会社に自己資金がどのくらいあるかという資本金に注目すると思いますので、不動産や大きい建設物や工場を作るなどの場合には、少し資本金が多いほうがよいと思います。
許認可の関係から、資本金があった方がよいという業種もあります。残高証明書などでも大丈夫ですので必ずではないのですが、建設業許可を会社設立と同時に取得したいという場合には、資本金500万円にするとその後の会社設立の手続きがスムーズになります。
また、運送業許可を会社設立と同時に申請する場合にも、資本金でなくてもよいのですが、700万円くらいの資本金があり実際に銀行に入金してあれば会社設立後の運送業許可申請がスムーズです。一般派遣業許可申請なども資本金の縛りがあります。
派遣業許可などでは、最初から資本金2千万円とする場合が多いのですが、これは会社設立と同時に許可をスムーズに取得するためのものです。この場合には、消費税の免税が受けられなくなりますので、予め消費税を納めることを念頭に経営を判断していくことが必要です。
では、資本金はいくらにしたらよいでしょうかという質問には、単純には、許認可などの視点が関係ないなら、今手元にあるお金で会社にだせる金額を資本金にすればよいのでは、ということになります。そして、切りの良い数字で良いのではないでしょうか、という感じになります。
10万円、50万円、100万円、200万円、300万円、500万円、700万円、777万円、800万円、900万円、999万円、といった感じです。1千万円を超えると消費税の免税がなくなりますので、最初は1千万円以下で設定するとよいと思います。
質問
資本金は会社に残しておくものでしょうか、引き出せないのでしょうか。
回答
会社の資本金は、設立の時は会社の通帳がありませんので、資本金を出す人の個人の通帳に入金することになります。会社が設立になるとその個人の通帳から資本金が500万円でしたら、その500万円を引き出し会社の通帳に入金するのかということですが、経理上必ずしもその必要はありません。
個人の通帳にいれた資本金を、会社設立になるまでそのままにしておく必要はありません。引き出して会社の準備にかかる費用として支払いに充てることもできます。
個人の通帳にあるままでは会社の通帳に資本金が入らないので経理はどうなっているのかと考える社長もいると思います。会社の通帳に入れないときでも、会社の資本金にしたときに仕訳として、仮に500万円でしたら、現金 500万円 / 資本金 500万円 ということになります。つまり、会社の通帳に入れなくても経理上は現金があるということになります。実際、個人の通帳に入れた預金がありますのでそれが会社の資本金であり、通帳にないから現金があるということになり、あってくるわけです。
よって、法人の通帳を作成しそこに資本金を必ず入れる必要はなくなります。また、資本金を元手にして会社を運営するのですから資本金を使うのは当然です。よって、資本金が500万円だからいつまでもその500万円が通帳になくてはならないということはありません。実際の現預金と考えると増えたり減ったりするのが資本金になります。
ここで、資本金を例えば親から借りて返さなくてはならないときはどのようになるのかということを書きます。資本金が500万円で作った会社だが、300万円は作った後すぐ親に返済した場合です。仕訳では、 現預金 500 / 資本金 500 となり次に300万円は返済されるのですから、役員貸付金 300 / 現預金 300 という仕訳になります。
資本金は会計上変わりませんが、実際には300万円がないので、その無くなったお金が車になったのでしたら会社の資産として「車」が計上されますが、会社にないだけで経費でも資産でもないとなれば、社長個人が会社からお金を借りたという個人と会社の貸し借りになります。
勘定科目として「役員貸付金」という名称になります。貸付金なので会社は貸した人から利息をもらうことになります。なお、この貸付金は銀行が融資の際に嫌がる勘定科目になります。融資を申し込むと役員に貸しているお金があるなら、融資をするより役員から返してもらえばよいのではという話になるからです。
よって、この役員貸付金がないほうが決算書としてはよいことになります。
質問
3人で資本金を出し合いたいが、いくらくらいにしたほうがよいか。
回答
3人で資本金をだすということが一緒に住んでいる家族でということでしたらいいかもしれませんが、友達とか親戚とかならやめておいたほうがよいと思います。
小さい会社を作ることが最初になります。小さい会社だからトップは1人で十分です。少しくらい大きくてもトップは1人で十分です。みんなで考えていたらうまく行くこともいかなくなります。
こういった質問がときどきあるのですが1人で資本金を出すか、どうしてもお金がないなら出資ではなくて借りて返済するということにするかにしたほうがよいですと回答しています。家族でも親戚でもお金の出し合いはトラブルのもとになるからです。
資本金を半分づつ出してしまえば、会社で中心になることができなくなるでしょう。そうなればもうかっているとき、仕事が順調にいっているときはよいかもしれませんが、うまくいかなくなったとき必ず困難な事態に直面します。それは仲間割れという仕事と関係のない無駄な争いです。
ただでさえ仕事に集中しなければならないのに、内部にごたごたがあればどうなるか、よいに想像がつくと思います。だから資本金は3人で出すとか言わずに最初は1人でだし始めるべきです。みんなで始めることが悪いことではありません。問題が起こることが想定されているのに最初からそんなことはないと計画を甘いものに考えることがよくないのです。
でもそれでももし資本金を出すとしたらということになります。そのときは資本金は議決権を持つ株式の発行と同じになることがほとんどですので、議決権を行使できる範囲にすることがよいかもしれません。安全のため社長以外の人には1/4くらいにとどめた方が無難と思います。
もし共同でそれも2人代表で同じ権限を持つということでしたら、半分づつにするということが考えられます。そのときは給与も半分にしたほうがよいと思います。そのほかのことも全部半分という差をつけないという方法で進めないとどこかでトラブル気がします。
資本金を出すということは会社の議決権を持つということですので、会社の役員を決められることになります。よって本来会社を始めた社長が半分の資本金を出していないと会社が順調になったところで役員解任ということもできないことではなくなります。
資本金を半分づつ出して給与も半分づつ同じにして成功した会社もあります。でもそちらのほうが少ないです。とりあえず最初は自分で全部出すということで始めることをお勧めします。
なお複数の人で資本金を出すときは、代表者の個人名義の通帳に振り込んでもらうのが一般的です。資本金は次に会社の通帳にいれるか会社で使うものに充当するため、資本金を出す人の個人の通帳にそれぞれ入れるという方法はその後が面倒と思います。また資本金のトラブルをなくすことからも代表者の通帳にまとめるほうがよいと思います。
通帳でなくても現金でもらったというときもあると思います。そのときは代表者の個人の通帳に現金を入金し、通帳のコピーにこの入金額は収支者の誰と名前をメモしておけばよいことになります。
質問
会社設立のとき資本金はいつまでにどこに入金するのでしょうか。
回答
資本金の入金は定款作成日以降に有効になります。定款作成日は本当はいけないのですが、実際には日付をさかのぼろうとすればできてしまいますので、社長だけで会社を作る場合であればそれほど厳密に資本金の入金日は問題にならないかもしれません。
資本金の入金は、通常出資者の通帳に入金します。残高ではありませんので入金する必要があります。3人で資本金を出す場合は、社長の個人名義の通帳に他の2人の人が振り込むような形でまとめてしまうのが通常です。
入金は出資者の名義が出ていなくてもその入金が資本金であるということで大丈夫です。例えば個人名義の通帳に振り込まれた個人事業者のときの売掛金のうち一部を資本金にするということでも認められます。
質問
ネット口座の通帳でもよいでしょうか。
回答
ネット通帳で問題ありません。ネット通帳のときは銀行名、支店名、口座番号、入金のページをプリントしていただければそれが証拠所になります。IDやパソワードで入ると銀行名がありそのあと口座番号とかあるページに行くものがあるときは、銀行名のところでプリントを1枚お願いします。次の入金のあるページには銀行名がなく口座番号と支店名だけになることがあるようですので。
質問
通帳に残高400万円あります。資本金を残高のうちの300万円としてよいでしょうか。
回答
通帳にある残高ではなく通帳に入金した金額または振り込んだ金額が資本金になります。その場合400万円を入金してそのうちの300万円を資本金とするということはできます。売掛金の入金が4,788,369円ありそのうちの300万円を資本金とするということでも大丈夫です。
入金や振り込みですと通帳に日付がでます。その日付が定款を作成した日以降である必要があります。
質問
資本金は株主で議決権があります。議決権について教えて下さい。
回答
株式会社と合同会社では内容が少し変わってきますが、株主総会に出席し定款の定めにある項目などを決める権利になります。株式会社では出資額に応じた議決権数になるので1人1議決権ということではないです。
合同会社では出資をした人が1人1投票になるので出資の金額が多いからと言って1人で決められるというわけではなくなります。
株式会社でも種類株式という複雑な株式があり議決権も変わってくることがあります。でも小さい会社で種類株式を使うことはあまりないです。
議決権は株式会社なら株式の数を多く持っている人が会社のことを決められます。通常のことは多数決ですので半分持っている人が決められるという理解で良いと思います。ただ特別議決というものもあるので3分の2以上経営者がもっていると安心と思います。
でも実際は全部社長が持っていれば何も問題はないです。そのほうが小さい会社の実態に合っていますしやりやすいと思います。
なお株主総会の決議には普通決議事項と特別決議事項と特殊決議事項があります。普通決議事項や特別決議事項には定足数と決議要件があります。特別決議のほうが要件は厳しくなります。でも株式を全部経営者である社長がもっていればこういった法律上のわずらわしさもありませんので小さい会社は株式を全部社長が持つことをお勧めします。
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