会社員の方が農地を相続することも普通にあると思います。この場合どのようなことに注意したらよいかという質問がありました。以下はお客様と税理士の会話です。
<お客様>
先日父が亡くなりました。相続人はこども3人です。長男は私ですが、会社員をしています。相続税は出るでしょうか。
<税理士>
相続税が出るかどうかは、3千万円の基礎控除と3人×600万円=4800万円を遺産が越えるかどうかで大体わかります。大雑把で結構ですがどのくらいの財産がありますでしょうか。土地の価格は固定資産税の通知書が毎年5月ごろ来ると思います。それを見るとわかります。評価額と書いてあるところが土地の固定資産税の評価額です。ただそれに倍率かけたりするのでそこから見て分かるのは本当に概算だけですが。
<お客様>
預金は3千万円で土地が農地も含め結構多いです。調整区域です。土地の値段は安いと思います。固定資産税の通知書は手元にありません。探せば出てくると思いますが、その固定資産税通知書以外に何かわかるものはないでしょうか。
<税理士>
固定資産税通知書以外ですと、名寄帳か評価証明書です。評価証明書は不動産登記のときも使いますので、いづれ必要になります。ただ登記で必要な評価証明書となくなったときの評価証明書は年度が違うこともありますので、細かいですが注意が必要です。といってもほとんどは同じなので影響はないと思いますが。
土地の場合、農地でしたら市街化調整区域と思います。農地を駐車場とか資材置き場とか農地以外のものに使っていたりしないでしょうか。
<お客様>
農地はそのまま農地で使っています。でも貸しています。名寄帳というのは市役所で取得できるのでしょうか。
<税理士>
名寄帳は市役所の税務課で取得できます。その市にその人の持っている土地建物などが一覧表になっているものです。やすい市役所ですと30円くらいで発行してくれます。農地を貸しているのでしたら、農業委員会を通して正規の手続きで貸し付けているでしょうか。そうでないと闇小作になり賃借権が認められないので農地の評価が下がりません。
<お客様>
農業委員会とかの手続きはしていないみたいです。父のことなのでよくわかりませんが、この前農相委員会の人と話しているとき正規の手続きをしたほうが良いという話を聞き、これからは農業委員会を通して貸し付けをします。
参考までに
https://www.city.moriya.ibaraki.jp/kurashi/nogyo/baibaitou/noutibaibaitaisyaku/yamikousaku.html
<税理士>
農地の場合どの地域にあるかで相続税の土地の評価の仕方が変わってきます。普通は調整区域で農業振興地域で農用地だと思います。農業振興地域は市役所で農業振興区域図というものが売っていますのでそれを購入するか、ネットでみるかで区域がわかります。市役所に電話して聞いてしまうのが確実です。
相続税の依頼があったときは、名寄帳は農地の一覧になっているので電話で上から農業委員会の人に青々ですかとか地番を言って聞いてメモしてしまいます。またはFAXで送付してメモをしてもらいます。青青とは農業振興地域にある農用地です。農業振興地域にあっても転用していて青ではなく白になっているところがあるので、青青といってその場所の区分を特定していきます。
青とは市役所が作っている農業振興区域図に農業申告地域が緑色(これを青といっているのかと)に
なっているので青といっています。農地だったところを資材置き場とかに変更すると農用地ではなくなるのでそこは青色の中に白の部分がでてきます。農業振興地域の中にも農家とかの家はありますので、そこは農地ではないので白になっています。白になっているところは農地ではなく、雑種地とか宅地とかです。
<お客様>
調整区域の田舎なので宅地の面積は広いです。2千平米以上あります。土地の値段は高くなるでしょうか。
<税理士>
その固定資産税の評価見ないとわからないのですが、安い土地でも2千平方メートル以上あるのでしたらそれなりの値段はすると思います。市街化区域と違いますので億とかになることはないと思いますが。調整区域でも特例があり、地積規模の大きい宅地は減額できることになっています。
ただ調整区域にある土地の場合は条例指定の10号11号区域に該当する場合だけです。10号と11号というのは調整区域なのですが宅地分譲できる区域をいいます。これは都道府県などの条例で指定するものです。開発行為ができる地域なのでとりあえず調整区域でもこの地積規模が大きい宅地に該当するかどうかを確認する必要があると思います。
もし10号11号地区に該当したら開発できるその建物は宅地分譲かどうかも確認します。開発できる建物に制限があって宅地分譲できないのでしたら、地積規模の大きな宅地の条件を満たさなくなってしまいます。
調整区域の宅地で評価減できるとするとこの地積規模が大きい宅地に該当するかどうかが大きいです。それと評価減できるとすると小規模宅地の特例も考えられます。農家の場合2つ考えられますのでその検討をすることになります。
<お客様>
お金はあまりないので土地だけですからできるだけ土地を安くしたいです。農地ですから簡単には売れないですし。
<税理士>
小規模宅地の特例は、農業の場合農業用倉庫があるかどうかで土地が安くなるかわかります。農業用倉庫はトラクターとか農薬とか農作業に使うものを置いておく納屋です。その農業用の納屋の敷地の用に供している土地、敷地として使用している土地でしたら400㎡まで80%の減額の対象になります。
宅地が広いので400㎡ですとあまり影響はないかもしれませんが検討したほうが良いと思います。もう一つの地積規模の大きな宅地は土地全体にかかってくるので減額割合が大きくなる可能性があります。もともとの土地が安いとそれほど変わらないということもありますが少しでも安くなるのでしたら検討する必要があります。
調整区域ですので10豪華11号区域に該当するかどうかを市役所で確認します。そのあとその区域で分譲ができるかを確認し分譲ができるときは減額することができます。宅地といっても商業とかの建物を歯科作れないなど制限があるときは該当しません。
12号区域というのが良くあるのですがこの区域の時は地積規模の大きい宅地に該当しません。12号区域は農家分家などで6親等内の血族と3親等内の姻族が普通ですが市役所などによって違いますので確認が必要です。でも6親等の血族とかたくさんいますので売買ができないということはない土地ということになります。
農業の場合あまり現預金の財産はないのに土地だけを引き継いで納税が出ると大変と思います。将来的には農地であっても区域によって分譲できるところが多いですので、各市役所で確認し分譲することも考えることになると思います。