みなし遺贈・贈与
相続・遺贈・贈与は、
本来の遺贈・贈与のように無償で財産を移転させることだけでなく、
例えば、下記の様なことでも経済的利益があれば、相続・遺贈・贈与があったとみなされ、
相続税・贈与税が発生します。
ⅰ 低額譲受
贈与税を避けるために対価を支払ったとしても、財産の時価に足りなければ、
その足りない分に贈与税がかかります。
例えば、500万円の車を取得するのに200万円しか支払わなければ、
差額の300万円に対し贈与税がかかります。
ⅱ 債務免除等
債務を免除してもらったとき、
債務を他の誰かに引き受けてもらったとき、
債務を他の誰かに弁済してもらったときも、
その債務の額相当額に相続税・贈与税がかかります。
これが被相続人の遺言によりあれば、相続税がかかり、
これが被相続人以外の個人からあれば、贈与税がかかります。
ⅲ 負担付遺贈・贈与
「負担付」というのは、例えば、
「AがBに700万円の車を渡すから、
BはCの借金200万円を負担してくれ。」という様に、
遺贈・贈与を受けるために他の誰かの負担を被ることです。
この場合、Bには700万円と200万円の差額の500万円に、
Cには200万円に相続税・贈与税がかかります。
ⅳ 生命保険金等
被相続人死亡時に支払われる保険金や個人年金等の課税関係は、下記の通りです。
- 「保険料負担者=保険金受取人」のとき…所得税がかかります。
- 「保険料負担者= 被相続人 」のとき…相続税がかかります。
- 「保険料負担者=上記以外の者」のとき…贈与税がかかります。
ただし、相続人が受け取る場合、相続税には「500万円×法定相続人」という
非課税枠があります。
例えば、下記の様な形です。
- 保険料負担者…保険金受取人 6分の1
被相続人 6分の2
上記以外の者 6分の3 という状況で、
被相続人の死亡により保険金受取人が6,000万円の保険金を受け取ったとき、
1,000万円に所得税が、2,000万円に相続税が、3,000万円に贈与税がかかります。
ⅴ 被相続人の退職手当金等
被相続人の退職手当金等も、相続税の課税対象です。
ただし、被相続人の死亡により支払われる退職手当金等を相続人が受け取る場合、
相続税には「500万円×法定相続人」という非課税枠があります。
ⅵ 無利息の金銭貸借
本来得られるであろう利息部分が、贈与税の課税対象となります。
ⅶ 名義が異なる資産
例えば車を買った人が車の名義人と異なるときは、
買った人から名義人への贈与とみなされ、贈与税がかかります。
ⅷ 名義預金等
例えば子名義の定期預金を作ったが、その管理を被相続人が行っていれば、
相続財産になります。
ⅸ 共有名義での不動産の購入
例えばAさんとBさんが2,000万円ずつ計4,000万円で不動産を購入したのに、
所有権の登記がAさんは4分の3、Bさんは4分の1だとしますと、
代金はAさんが3,000万円、Bさんが1,000万円支出しなければならなくなるため、
AさんからBさんに1,000万円の贈与があったとみなされ、贈与税がかかります。
ⅹ 信託受益権
他の誰かが信託財産として拠出した財産を受益した場合は、
相続税・贈与税がかかります。