立退料
所得税の立ち退き料の考え方は、とてもあいまいです。どうして税法はああいったあいまいな書き方をするのかと思います。はっきり書くとその後の事案で盲点を突かれる可能性があり書けないのか、その時点ではわからないから書けないのかと考えますが、どちらにしてもあいまいな表現のせいで裁判をするならきちんと書いておいてほしいと思います。
所得税は、1月から12月までの期間で確定申告になります。法人は自由です。普通、個人で営業している、店舗、食堂、喫茶店、美容室、保育園、歯科医院、クリニックなどがビルの一室を借りているとすれば、ビルの事業用の部屋ですから貸している方は法人がほとんどと思います。
貸している方は立ち退き料支払いの処理はそれほど難しくありません。それにいつ支払うのかも法人なので常に12月を境に考える必要がありません。ところが借り手側が個人のときが問題です。個人は特別なことがない限り12月が区切りになりこれは動かせません。
個人事業者が出ていってくれといわれたときその時は立ち退き料に税金がかかることをまず押さえてほしいです。立退き料をもらうことなど人生に1度あるかないかくらいと思います。だからその後のことがよくわからないですし、事業者はそのお金で事業をどう再開するかのほうしか考えていないのですから、あとから税金の負担があるとなると大変です。
個人事業者が立ち退き料をもらったとき、通達では①総合譲渡②一時所得③事業所得と3つの所得になる可能性があることを記載しています。事業者でなければ事業所得はでないのですが、通常会計事務所のお客様は個人事業者なのでこの事業所得が問題になります。
法人の場合は問題になりません。全部収入だからです。所得税のように所得区分をする必要はありません。なお個人事業者の場合でも総合譲渡に該当することはめったにないと思います。借家権の譲渡ということになりますので借家権という権利がある地域にしか該当しないからです。
この借家権のある地域とはどこかということが書いてあればいいのですが、借家権のある地域と書いてあるだけでどこと書いてないので税法は分かりずらいのです。書いてほしいです、はっきりと、それはどこなのかと。争わないとわからない、そんな納税者不利な考えがあるでしょうか。
借家権には相続税のほうで評価することになっている通達がありその中で借家権の評価しなくてもよい地域ということが記載されています。所得税とは違うのですが、税務的には評価がないというものに譲渡はないということで考えるのだと思います。
もともと時価についても相続税評価額で良いという判例もありますし、簿価で良いというものもあります。この辺になると意味が分かりません。どうして税務上の定額法とか定率法とかが時価と関係するのかです。でも税務的に問題ない数字であれば本当の意味の時価でなくても認めますという意味なのかと思います。
ということでよほどの商業地域で借りたこと自体に価値がありそれを他の人に転売できるくらいの場所でないと借家権の譲渡はないようです。ということで個人事業者が立ち退き料をもらうと残りの一時所得か事業所得ということになります。不動産所得もありますが事業所得と考えてください。
事業所得とは事業で受ける収益ですので収入には計上基準があります。一時所得にも計上基準があります。事業所得の場合引き渡し基準が原則です。サービスなら提供が終わったときです。一時所得は何かの対価というものではないので現金が入ってきたときとかその前に確定した時です。一時所得はサービスの提供とか工事を請け負って引き渡しとかがありませんので現金をもらったときには収入は確定することになります。
対して事業所得は終わらないうち、引き渡しをしないうちにお金をもらえばそれは出来高制など特別なものを除けば前受け金で収入になりません。でもその収入にならない請負やサービスの経費も経費ではなく仕掛、未成工事支出金となります。
ここで立退き料ですが、一時所得と事業所得に分けてもらうことがあるかどうかです。
・・・・作成中