不動産収入計上時期
例えば短期前払いの特例でA社から1年分の賃料を受け取ったB社は1年分の受け取った収入を売り上げに計上すべきかどうかということですが、取り扱いは法人税通達と所得税通達で変わってきます。結果は所得税でも法人税でも、支払い契約日に1年分を売上計上しても、前受金を計上し12か月分だけ売り上げに計上してもよいのですが、考え方は少し変わってきます。
所得税の場合、不動産所得で事業的規模の場合とそうでない場合がありますので原則は受け取った契約日に1年分を収入に挙げることになります。例外として継続して前受金を計上するならそれを認めるということになっています。条件は事業的規模で行っている場合です。不動産の事業的規模は形式基準と実質基準での判断になりますが、普通に形式基準で判断しておけば問題はないです。
所得税の場合の方が事業的規模と業務的規模と原則と例外という分け方になるので1年分を受け取ったときの収入は難しいです。この場合1年分を受け取ったというのは契約に基づいて受け取ったということで支払うほうの都合で契約にないのに1年分支払ったとかいうのはだめです。
法人税では、原則簿記で経理しますので所得税にあるような事業的規模とか業務的規模とかの取り扱いはありません。簿記でしたら期間対応が原則ですので事業年度を超える期間のものは前受金です。しかし旧通達2−1−29《賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期》の取扱いが平成30年の改正後もそのまま適用できる旨の文書が出ていますので産めとった1年分の地代家賃をその契約日に収益とすることができます。
1回だけですが、赤字なので1年分の前受家賃を計上しようとか、黒字なので契約変更して短期前払いで1年分の家賃を計上しようとかが選択できることになっています。短期前払いの原則は、該当しなければ適用できないことと、重要性の原則からはずれれば問題になりますのであまり大きい金額ですることはお勧めしませんが、どうしてもやりたいという強い意志を持った社長でしたらどうぞ実行していただけましたらという感じです。
実際には1000万円のせいめいほけんの前払いでも認められているので重要性とはどのくらいの金額なのかと考えるとわからなくなります。判例では販管費の何割とか考え方があるのかもしれませんが、裁判までやらないとわからない基準とは納税者にたいしてどうなのかと思います。