税理士:前回、前々回のお話しの続きになりますが、役員借入金を消すために、一つ過激な方法があります。

 

A社長:興味があります。

 

税理士:Dept Equity Swap(DES)という方法があります。

 

A社長:デスですか・・・。少し不気味な響きがしますね。

 

税理士:実際にDESは、少し怪しげな方法です。DESは仕訳としては1本で済みますが、役員借入金を資本金に振り替えてしまおうというものです。

 

A社長:ということは、役員借入金が消えて、資本金が増えるということですか?!

良いことづくめのように聞こえますが・・・。

 

税理士:本当に夢のような仕訳です。これができたらどれほど良いかと思います。役員借入金が消えて、その代わりに増資になるのですから。

 

A社長:なぜDESはダメなのでしょうか?

 

税理士:DESを行うと、税務署に目を付けられます。そして、税務署から否認される可能性も非常に高いものです。

 

A社長:DESはリスクが高いということなのですね。

 

税理士:DESは夢のような仕組みなだけに、リスクも非常に高いものになります。

そのため、弊社ではDESは行っていません。

 

A社長:そうなのですね。リスクは怖いので、DESは止めておきます。もう少し穏便な方法はありますか?

 

税理士:DESと似ていますが、疑似DESという方法はあります。

 

A社長:疑似DESとはどのようなものですか?

 

税理士:疑似DESは、いったん役員借入金を役員などに返済して、返済した資金をもとに増資するという流れになります。つまり、DESの仕訳に、役員借入金を現金等で返済するという仕訳を1本かませることになります。

 

A社長:DESも疑似DESも、あまり変わらないように見えますが・・・。

 

税理士:DESと疑似DESは、一見似ているように感じられますが、性質は全くことなります。疑似DESには、役員借入金を現金などで返済しているという事実があるからです。ただし、仕訳上の返済ではNGで、実際に役員借入金を返済していることを証拠として残す必要があります。

 

A社長:いまいちよく分かりませんが、疑似DESでしたら税務上のリスクは減るということでしょうか。

 

税理士:そうですね。疑似DESでしたら、DESと比較して税務上のリスクは下がると思います。ただし、税務署は目を付けると思いますし、役員借入金を実際に返済していることを証明しなければならないためリスクはあると思います。

また、資金的に役員借入金を返済する余裕がなければ、やはりこの方法も採用することができません。

 

A社長:何かもっと穏便に、役員借入金を消す方法はないものでしょうか。

 

税理士:今回は少しおどかしてしまいましたが、もっと穏便に役員借入金を消す方法もあります。次回に詳しくご説明いたします。

 

次回に続く。

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