(1)二世帯住宅の敷地に係る小規模宅地特例
① 被相続人の居住用宅地等の範囲
被相続人の居住の用に供されていた宅地等を相続等により取得した被相続人の親族が、原則として相続開始時にその宅地等の上に存する被相続人の居住用家屋に同居していたものであって、相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その家屋に居住している場合は、その宅地等は特定居住用宅地等に該当し、相続税の課税価格の計算上、その宅地等のうち330㎡(平成27年1月1日以後の相続)まで80%の評価減が適用されます。
② 二世帯住宅の敷地における「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」の範囲
親と一つの建物に住む二世帯住宅の場合、例えば1階に親が住み、2階に子供夫婦が住むという場合があります。さらに1階と2階が内部で行き来できる場合と壁で完全に仕切られていて外にいったん出ないと行き来できない場合があります。
親子が、親が1階で子が2階にわかれて居住していた場合で、親の死亡で子がその住宅の敷地を相続で取得し、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例を受けようとするときは、平成25年の税制改正で、内部で行き来できるかできないかという建物の構造にかかわらず、その親族が居住の用に供していた部分の敷地に対する部分も、被相続人の居住の用に供していた宅地等に含まれることになりました。
ただし、1棟の建物が、建物の区分所有に関する法律により区分所有建物となる場合には、建物の敷地のうち被相続人が居住の用に供していた部分に対応する部分のみが、被相続人の居住用の宅地等とされることになります。2世帯住宅を作る場合は区分所有をせずに、相続税の対策としてはお金を出した割合により共有にするとよいことになります。
③被相続人の親族の居住要件
「被相続人の居住用家屋に同居していた者」の要件に該当する者とは、被相続人の親族のうち、相続開始の直前において、その宅地等の上の被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物のうち「一定の部分」に居住していた者であって、相続開始時から申請時期まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その建物に居住している者をいいます。
上記の一定の部分とは、次の区分に応じそれぞれに定める部分です。
i 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物が、区分所有建物である場合には、当該被相続人の居住の用に供されていた部分が該当します。
二世帯住宅が親(被相続人)と子により区分所有されていた場合は、相続開始直前において、その建物のうち親が居住していた部分に子が居住しなければ、同居要件を満たすことができないことになります。
ⅱ i以外の場合は、被相続人又は当該被相続人の親族の居住用に供されていた部分が該当します。
区分所有の登記の有無により小規模宅地の特例の適用が変わってきます。区分所有登記をするときは、その建物の敷地の面積などからどの程度小規模宅地の特例が適用になるか検討することが必要になると思います。