社長:私が経営する法人に、個人所有の車をリースで貸付けていました。

   その車を売却することになったのですが。

 

税理士:法人と個人は別人格ですので、原則的には社長個人が所有している車を法人へリースすることは問題ありません。

社長個人では、受取リース料を確定申告していたのですよね。

 

社長:はい。受取リース料を雑所得として確定申告して、その際に車の減価償却費などを必要経費にしていました。

 

税理士:それでしたら大丈夫だと思います。

ただし、その車を売却することになると、少し問題が出てきます。

売却した車の譲渡益を申告しなければならないのです。

 

社長:個人所有の車を売却するのに申告がいるのでしょうか。

 

税理士:個人の日常の通勤用や生活用に使用する車を売却した場合には、申告は必要ないです。生活に通常必要な資産の譲渡は、所得税法上非課税扱いとなっているからです。

ただし、車を法人へリースとして貸している場合には、生活に通常必要な車ということにはならないと思います。

 

社長:なるほど。法人へリースとして貸しているので、車の売却には申告が必要なのですね。

 

税理士:そうなんです。

ただし、車の売却は総合譲渡という扱いになり、売却した収入から取得費や譲渡費用も控除できますし、50万円限度の特別控除というものもあります。

さらに、車の所有期間が5年を超えてきますと、長期譲渡所得というものになり、2分の1が課税対象となってきます。

 

社長:リース車を売却しても、いろいろと優遇されているのですね。

 

税理士:そうですね。

リース料は法人の経費(損金)となっているので、リース車の譲渡益への課税もやむなしというところでしょうか。

<お客様>

法人で建設業をしています。今度、トラックなどの駐車も兼て、資材置場を借りることになりました。

 

<税理士>

その資材置場の賃貸契約書を拝見させていただけますか。

 

<お客様>

こちらが賃貸借契約書になります。

 

<税理士>

なるほど。契約の目的として、資材置場と車両置き場となっているのですね。

砂利は初めから引いてありましたか。

 

<お客様>

はい。砂利は契約した時点ですでに引いてありました。

 

<税理士>

そうですか。消費税では、「施設の利用に伴って土地が利用される場合」には、課税取引に該当するという規定があります。

 

<お客様>

それはどういうことでしょうか。

 

<税理士>

御社は消費税を本則課税で計算していますので、この資材置場の地代の消費税を消費税の計算上控除できることになります。

資材置場に砂利が引いてあるため、「施設の利用に伴って土地が利用される場合」に該当するのです。

 

<お客様>

それでは、消費税が安くなるということですね。

 

<税理士>

そういうことになります。砂利が引いてあったのはラッキーでしたね。仮に砂利が引いておらず、更地の状態でしたら、消費税は控除できないところでした。

 

<お客様>

そうなのですね。更地でなくて良かったです。

不動産賃貸契約を結んだ時など、家賃のほかに敷金や礼金を大家さんに支払う場合があります。

敷金は、大家さんに預けるお金で、退去する場合などに原状回復費などと相殺されて将来返還されます。家賃の滞納時に、敷金から充当されることもあります。

これに対して、礼金は謝礼のようなもので、将来返還はされません。

 

敷金と礼金で経理の仕方は大きく異なってきます。

 

敷金は、将来返還されるため、資産として計上されます。敷金は、原則として経費には計上されません。ただし、原状回復費と相殺される場合や、契約上償却されることが定まっている場合には、経費として計上されることもあります。

 

礼金は、将来返還されないため、経費として計上されます。ただし、礼金が20万円以上になる場合には、税務上の繰延資産として資産に計上されます。長期前払費用などの勘定科目で資産計上され、契約期間に応じて償却費というかたちで経費になります。

 

礼金の消費税の取り扱いは、物件が居住用であれば非課税扱いとなり、事務所や倉庫など事業用であれば課税扱いとなります。

お客様:軽貨物の運送業をしています。所有している軽トラックを冷凍車に改造して冷凍食品の運送もできるようにしました。

この時に、改造費用として150万円ほど費用がかかったのですが、修繕費として落とすことはできますか。

 

税理士:修繕費として経費になるか、資本的支出として資産計上するかは難しい問題です。そのケースバイケースで考える必要があります。軽トラックを冷凍車に改造する際には、どのような改造を行ったのでしょうか。

 

お客様:軽トラックの荷台部分に冷凍庫のような機械を溶接して、冷凍車としての用途以外には使用できないようにしました。

 

税理士:国税庁のタックスアンサNo.5402には、次のような支出は原則として修繕費にはならず資本的支出となるとあります。

1) 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額

2) 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額

3) 機械の部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額

おそらく、今回の冷凍車への改造は、(2)の用途変更のために改造した費用に該当すると思われます。

修繕費として処理するか、資本的支出として資産計上するかは、判定基準もあり判断に迷うこともありますが、今回のケースでは「明らかに資本的支出(法基通7-8-1)」に該当すると思われます。

 

お客様:そうすると、修繕費として一括で経費にすることはできないのですね。どのようにして経費にすればよいですか。

 

税理士:改造費を資産計上して、法定耐用年数で減価償却費として経費にすることになります。

 

お客様:法定耐用年数はどのようになりますか。

 

税理士:軽トラックと冷凍庫を一体のものとして捉える場合には、軽トラックの法定耐用年数を使用することになります。軽トラックを冷凍庫と別の資産として捉える場合には、冷凍庫の耐用年数を使用することになります。

今回は軽トラックと冷凍庫が一体のものとなっているので、軽トラックの法定耐用年数を使用することになると思います。

 

確定申告(個人)の期限は、原則として毎年315日になります。

確定申告することが必要な個人の方におかれましては、315日までに確定申告を税務署に行わなければなりません(ただし、還付申告の場合には315日を過ぎても大丈夫です)。

確定申告の期限を過ぎてしまっても、できるだけ速やかに確定申告を行う必要があります。

 

期限を過ぎてしまってから申告を行うと期限後申告となり、延滞税などの余分な税金が発生する可能性があります。

また、青色申告特別控除の65万円(又は55万円)が適用できなきくなり、10万円の控除しかできなくなります。

 

仮に、確定申告の期限を過ぎても申告をしなかった場合には、無申告となり延滞税だけでなく無申告加算税といった重い処分を受ける可能性があります。

無申告加算税が課せられてしまうと、原則として15%~20%の税金が加算されます。

無申告加算税が課せられてしまうとたいへんですが、確定申告の期限後1カ月以内に自主的に申告している場合など一定の場合には、無申告加算税は免除されます。

A様:今年の確定申告で所得税の納付が0円だったのですが、市県民税納税通知書が届きました。市県民税を支払わなければならないようです。

こんなことってあるのでしょうか。

 

税理士:所得税の納付が0円でも、個人住民税(市県民税)が発生するケースはあります。

 

A様:どのような場合に、そのようなことが起こるのですか。

 

税理士:いくつか考えられるのですが、1つには所得税と(個人)住民税の所得控除の金額が異なることがあります。

所得税も住民税も、原則として、その個人の(課税)所得をもとに計算されます。しかし、所得を算出する過程で控除する所得控除の金額が、所得税と住民税で若干の相違があります。

 

A様:具体的にはどのように異なるのでしょうか。

 

税理士:例えば、一般の配偶者控除では、所得税の場合には38万円ですが、住民税では33万円となっています。また、基礎控除も、所得税の場合には48万円ですが、住民税では33万円となっています。その他にも、扶養控除や生命保険控除など、様々な項目で住民税の控除の金額が低くなっています。

 

A様:そのような理由で、住民税が発生することがあるのでしょうか。

 

税理士:そうですね。所得税の計算では所得控除が大きいために課税所得が発生しない場合でも、住民税の計算では所得控除が少なくなるために、住民税の課税所得が発生して住民税が課税される可能性はあります。

 

A様:その他には、どのようなケースが考えれらますか。

 

税理士:所得税の計算では、所得控除を控除する前の合計所得が48万円まででしたら所得税は課税されません。しかし、住民税では市区町村によって若干の違いはありますが、合計所得が48万円より少なくても均等割りの住民税5,000円が発生するケースがあります。

 

A様:給与所得だけでしたら、だいたいどれくらいの金額になりますか。

 

税理士:例えば毎月85,000円の給与を1年間もらった場合には、1年間の給与収入は102万円になり、給与所得控除55万円を差し引いて合計所得が48万円になります。この場合には、所得税は発生しませんが、住民税は均等割りの5,000円が発生することになります。

 

A様:それ以外のケースもありますか。

 

税理士:上記以外には、例えば原稿料などの源泉所得税を納付済みであったために所得税は発生しない場合などでも、住民税が発生することなども考えられます。

 

A様:なるほど。所得税が課税されなくても、住民税が課税されるケースはいくつかあるのですね。

建設業等で、安全協力会費などの名目で売上から相殺されることがあります。

その際に安全協力会費が課税仕入れになるかどうかが問題になります。

 

これは課税仕入れになる場合とならない場合があります。

安全協力会費の規則で、安全パトロールのために安全協力会費を徴収しているなど、対価性が認められれば、課税仕入れになると考えてよいかと思います。

しかし、安全協力会費に対価性がなく、会費としての性格であれば、課税仕入れににはならないでしょう。

 

いずれにせよ、得意先から安全協力会費の規則を取得することが大事になります。

また、得意先がインボイスの登録をしているか確認することも必要になります。

税理士:前回までのお話しの続きになりますが、役員借入金を消すために、比較的穏便な方法があります。

 

A社長:ぜひ教えてください。

 

税理士:いくつかの条件が必要にはなりますが、債権放棄をする方法があります。

 

A社長:役員借入金は、役員などから会社への貸付金ということでしたので、貸付金という債権を放棄するということでしょうか。

 

税理士:簡単にいうと、そういうことになります。ただし、債権放棄という方法も簡単にはいきません。会社にとっては債務の免除になるため、役員借入金を消す代わりに、債務免除益という収益を立てなければならないからです。

 

A社長:そうすると、会社では法人税等と消費税がかかるということですか?

 

税理士:原則的には、債務免除益も収益(益金)ですので、黒字になれば法人税等が発生する可能性はあります。ただし、その会社に繰越欠損金がある場合や赤字の場合などは、法人税等がかからない可能性もあります。

また、債務免除益では原則として消費税はかかりません。

 

A社長:それでは、繰越欠損金があるうちに債権放棄をした方がよさそうですね。

 

税理士:そうですね。繰越欠損金には10年(あるいは9年)といった失効期限がありますので、期限になる前に債権放棄をすることも一つの考え方だと思います。

 

A社長:債権放棄の契約書なども残しておく必要はありますか?

 

税理士:そうですね。債権放棄の契約書と株主総会議事録も、税務署から指摘を受けないために残しておいた方がよいですね。

 

A社長:その他に、債権放棄をする際に注意することはありますか?

 

税理士:大きな注意事項があります。株主が2人以上いる場合になりますが、債権放棄することにより、他の株主に対する贈与になる可能性があることです。

 

A社長:債権放棄しただけで贈与になるのですか?

 

税理士:そういうケースもあり得ます。債権放棄をすることにより、役員借入金という負債が減少する代わりに純資産が増加します。原則的には、株価は純資産によって決まりますので、純資産が増加すると株価も上がることになります。

債権放棄をしていない株主は、何もしていないのに株価が上がったことになるため、それが贈与ということになるのです。

 

A社長:贈与ということは、贈与税も発生するということでしょうか。

 

税理士:贈与税が発生する可能性もあります。しかし、繰越損失がある場合など、債権放棄をしても純資産が累積黒字にならなければ、贈与税は発生しません。

また、贈与税には110万円の基礎控除があるため、その範囲内の贈与でしたらやはり贈与税は発生しません。

 

A社長:なるほど。債権放棄という方法を取った場合でも、いろいろと問題はあるのですね。

 

税理士:役員借入金を消した方がよいかというのは、ケースバイケースになってくると思います。もちろん、役員借入金がないのに越したことはありませんが、逆に役員貸付金のようなものが計上されるともっと厄介です。

詳しくは延べませんが、役員貸付金が計上されると会社で利息を計上しなければなりませんし、銀行の融資でもマイナスの評価になります。最悪の場合には、税務署から役員賞与とされてしまう可能性もあります。

相続の際に、相続財産の総額が役員借入金も含めて相続税の基礎控除内であれば、あえて役員借入金を全て消すこともないケースもあるかとは思います。

 

A社長:ありがとうございました。

税理士:前回、前々回のお話しの続きになりますが、役員借入金を消すために、一つ過激な方法があります。

 

A社長:興味があります。

 

税理士:Dept Equity Swap(DES)という方法があります。

 

A社長:デスですか・・・。少し不気味な響きがしますね。

 

税理士:実際にDESは、少し怪しげな方法です。DESは仕訳としては1本で済みますが、役員借入金を資本金に振り替えてしまおうというものです。

 

A社長:ということは、役員借入金が消えて、資本金が増えるということですか?!

良いことづくめのように聞こえますが・・・。

 

税理士:本当に夢のような仕訳です。これができたらどれほど良いかと思います。役員借入金が消えて、その代わりに増資になるのですから。

 

A社長:なぜDESはダメなのでしょうか?

 

税理士:DESを行うと、税務署に目を付けられます。そして、税務署から否認される可能性も非常に高いものです。

 

A社長:DESはリスクが高いということなのですね。

 

税理士:DESは夢のような仕組みなだけに、リスクも非常に高いものになります。

そのため、弊社ではDESは行っていません。

 

A社長:そうなのですね。リスクは怖いので、DESは止めておきます。もう少し穏便な方法はありますか?

 

税理士:DESと似ていますが、疑似DESという方法はあります。

 

A社長:疑似DESとはどのようなものですか?

 

税理士:疑似DESは、いったん役員借入金を役員などに返済して、返済した資金をもとに増資するという流れになります。つまり、DESの仕訳に、役員借入金を現金等で返済するという仕訳を1本かませることになります。

 

A社長:DESも疑似DESも、あまり変わらないように見えますが・・・。

 

税理士:DESと疑似DESは、一見似ているように感じられますが、性質は全くことなります。疑似DESには、役員借入金を現金などで返済しているという事実があるからです。ただし、仕訳上の返済ではNGで、実際に役員借入金を返済していることを証拠として残す必要があります。

 

A社長:いまいちよく分かりませんが、疑似DESでしたら税務上のリスクは減るということでしょうか。

 

税理士:そうですね。疑似DESでしたら、DESと比較して税務上のリスクは下がると思います。ただし、税務署は目を付けると思いますし、役員借入金を実際に返済していることを証明しなければならないためリスクはあると思います。

また、資金的に役員借入金を返済する余裕がなければ、やはりこの方法も採用することができません。

 

A社長:何かもっと穏便に、役員借入金を消す方法はないものでしょうか。

 

税理士:今回は少しおどかしてしまいましたが、もっと穏便に役員借入金を消す方法もあります。次回に詳しくご説明いたします。

 

次回に続く。

税理士:前回のお話しで、役員借入金を消しておきたいとのことでしたが、方法はいくつかあります。

 

A社長:ぜひ教えてください。

 

税理士:一つ目の方法としましては、役員借入金は役員などから会社への貸付金になりますので、貸付金を返済することが考えられます。

 

A社長:具体的にはどのようにしたらよろしいでしょうか。

 

税理士:会社の預金口座から現金を引き出して、役員にその現金を手渡せばよいです。または、会社とは関係ない役員個人の預金口座に預金を移せば大丈夫です。

 

A社長:それで役員借入金は消えますか?

 

税理士:預金残高に余裕があることが条件になりますが、ある程度の役員借入金でしたら消すことができます。ただし、会社から資金は出ていきますので、会社の体力としては弱くなると思います。

 

A社長:役員にお金を渡すことで、所得税などの税金は発生しませんか?

 

税理士:役員にとっては、会社に貸し付けていたお金の返済ということになりますので、所得税などの税金は発生しません。ただし、役員報酬として見られてしまう可能性もありますので、契約書などを残しておくと安心かと思います。さらには、返済予定表なども添付して、毎月定額を返済するという契約書を作成し、それに基づいて返済しておけば、大丈夫だと思います。

 

A社長:当社には、役員借入金を返済するだけの資金的な余裕はないです。他に、役員借入金を消す良い方法はありますか?

税理士:他にも役員借入金を消す方法は、いくつかあります。

次回に詳しくご説明いたします。

 

次回に続く。

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